諸君 私は銭湯が好きだ
諸君 私は銭湯が好きだ
諸君 私は銭湯が大好きだ

松の湯が好きだ
竹の湯が好きだ
梅の湯が好きだ
鶴の湯が好きだ
亀の湯が好きだ
玉の湯が好きだ
弁天湯が好きだ
大黒湯が好きだ
稲荷湯が好きだ

下町で　山の手で、
商店街で　職人街で
駅前で　住宅地で
ビルの２階で　ビルの地下で
工場地帯で、田園で

この地上で行われる ありとあらゆる銭湯行動が大好きだ。

蛇口をならべた洗い場の一斉放水が 轟音と共にケロリンの黄色い桶を吹き飛ばすのが好きだ。
空中高く放り上げられた手...

ビン先をそろえた牛乳ビンの横隊が 乾いた喉を蹂躙するのが好きだ。
銭湯デビューの貧乏上京学生が 既に息絶えたシャンプーを、何度も何度も水をいれて使っている様など感動すら覚える。

家庭風呂主義の風呂桶メーカーの営業マンを2chのスレに吊るし上げていく様などはもうたまらない。
泣き叫ぶシャワーヘッド達が 私の降り下ろした手の平とともに、金切り声を上げて全身の汚れを ザバザバと洗い流すのも最高だ。

哀れな浴槽なき者達 が 雑多なシャワーで健気にも身体を洗い流すのを、800立方メートルの湯量の室内大...

諸君、私は銭湯を、かつての３丁目の夕陽を凌駕するような銭湯を望んでいる。
諸君、私に付き従う全日本公衆浴場業 生活衛生 同業組合 連合ギルド 諸君、君達は一体 何を望んでいる？

更なる銭湯を望むか？
情け容赦のない 熱湯の様な糞のような銭湯を望むか？
鉄風雷火の限りを尽くし 三千世界の娯楽を湯で満たす、嵐の様な銭湯を望むか？

「 銭湯！！ 銭湯！！ 銭湯！！ 」

よろしい、ならば銭湯だ。

我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする石鹸を握りしめた拳だ。
だがこの暗い闇の底で、...

我らはわずかに都内で750軒、全国でも4000軒に満たぬ斜陽産業にすぎない。
だが諸君は、一騎当千の古銭湯だと私は信仰している。
ならば我らは 諸君と私で総浴場数１００万軒と１人の風呂集団となる。

我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけているハウスメーカーの連中を叩き起こそう。
髪の毛をつかんで洗い降ろし 眼を開けさせ石鹸水を流し込み思い出させよう。
連中に銭湯の味を思い出させてやる。
連中に腰に手をあてて飲む牛乳の味を思い出させてやる。

天と地のはざまには、ユニットバスの哲学では思いもよ...